シプシックについて (3)
Kes on Sipsik?

『シプシック』 の物語が，「シプシックの誕生」 で始まり 「アヌとシプシック」 で終わるほぼ現在の物語構成になるのは，1978年の童話集 『シプシックたちの物語の本』 (12話) においてである。ただし，この本は，エノ・ラウトの童話集であって，シプシック物語の単行本ではない。シプシックの挿絵のスタイルは，この童話集で大きく変わる。

現在の物語構成の 『シプシック』 が単行本として出たのは，1981年版の 『シプシック』 が最初である。この版には 「アヌ，お留守番をする」 を除く14話が収録されている。

15話すべてが収録されたのは1987年版の 『シプシック』 で，この本には 「1981年の単行本 『シプシック』 と 1969年の童話集 『いろいろ，たくさん』 の話を一緒にしたものである」 という説明がついている。実際 「アヌ，お留守番をする」 は 『いろいろ，たくさん』 以来の登場である。また，この1987年版で再び挿絵のスタイルが変わった。

1978年版から1987年版までの時期は，『シプシック 』の現在の物語構成が確立した時期とみることができる。